メデジン
コロンビアはメデジン。
”常春”で知られ、さらに女性が綺麗という天国のような街に1ヶ月いた。
前回のバックパック旅中にメキシコで知り合った友人の友人の紹介という形で
なぜか大学で日本語を教えている「かおりさん」の家に気付いたら居候していた。
この日々はとっても不思議だった。
俺は事前情報なしで訪ねて行ったんだけど,
この「かおりさん」
実はものすごい有名人で。
例えばバスに乗っていて降りるところを間違えないようにしていると
他の乗客が
「かおりの家なら次のバス停だぞ」
なんて教えてくれたりする。
また、いろんな旅人が訪ねていく。
俺はよく知らなかったんだけど
「ジョーブログ」
のジョー君(?)なんかも突然きたらしいし、他にもいろんな旅人が現れる。
「なんか突然やってくるんですよね〜」
とかおりさんは話していたんだけれど
それを当たり前の様に受け入れてしまうかおりさんのせいだと思う。
のブログにも書いたんだけど、流れで決まってしまった居候生活。
その日に突然決まったにも関わらずその日に鍵を渡された。
不用心極まりない。笑
だけどそんな心配は一切していない様子のかおりさん。
それとね。
「居候」
というのは少し違う。
かおりさんは
「執事」
と呼ぶ。
いや、実際執事に近い。笑
初めて会った時も
「今日はチリからきてる料理人の執事がいるからうちでご飯食べましょう」
と誘われた。
そして会ったのがかず君だったわけ。
俺も多分、「執事生活中」は
「今、うちに執事のドローンパイロットがいるから」
と言われていたに違いない。笑
こんなかおりさん宅での執事生活は朝、かおりさんを起こすことから始まる。
テーブルに「起床時間」が貼ってあるんだけど
それに合わせてかおりさんを起こさないといけない。
もちろん学校の先生なので遅刻は許せないわけだけど
それ以外にも家庭教師などもあるので意外とかおりさんは忙しく朝は早い。
そしてかおりさんは永遠に起きない。
この起きるタイミングでコーヒーを用意し
食事を用意して待たなければいけないのだ。
そんな初日。
よく分からなかった俺は
「かおりさん、朝ですよ〜」
と起こしてから出かけてしまったんだけど帰ったら怒っていた。
「一回起こしたって起きれるわけないんだからもっと早くから起こしてください。
遅刻しちゃったじゃないですか」
そんな逆ギレある?笑
「だったらもっと早く寝てくださいよ」
と居候、いや執事経験のある人はみんな思ってるんだけど、もちろんかおりさんにその気はない。
何故か完全に夜型なのだ。
帰宅後、夜になるとかおりさんはパソコンに向かい出す。
そしていろんな方からのメッセージに丁寧に返信している。
日本語クラスの生徒さんから送られてきた
「かおりさん、これみて〜」
っていう動画もほとんど全部みている。
けど
偉いな〜
という一言で片付けたら大間違い。
深夜になるとかおりさんはいろんなアニメを見始めるのだ。
そして俺が次の日のために(かおりさんを起こすために)寝ようとしていても
「ね〜ね〜〇〇が死んじゃったんだよ〜」
とアニメの内容をまるで子供の様に話しかけてくる。
そして俺も寝るタイミングを失い
動画の編集やったりブログ書いたりし始めるんだけど
そんな深夜2時くらいに
「ね〜ね〜面白いお話しして〜」
と謎のぶっ込みが入る。笑
そこそこの芸人でないと対処できない様な前振りなしの無茶振りなんだけど
これを無視しようと思っても無理。
かおりさんのターゲットになったら逃げることはできない。
しょうがないのでベッドの横で俺の数少ないお話をしてあげることになる。
ちなみにこの時は
「やばい。面白すぎて目が冴えちゃいました。
もっとお話ししてください」
とさらに夜更かしになってしまったのだw
これならまだいい。
深夜2時くらいに突然
「もう遅いから寝なさい」
と言われることもある。
そ。
そんな〜
と心の中で叫ぶしか方法はない。
執事の生きる道は簡単じゃないのだ。
「歌歌ってくれたら起きれますよ」
と言っていたかおりさんに
キン肉マンのテーマソング
を朝から熱唱していたらとても不機嫌に起きたこともある。
「ときめきぽぽろんがいいんです」
と理解不能なことも言っていた。
こういうのは無視することに決めている。
それにベッドから起きてもご飯を前に倒れることは50パーセントの確率で起こる。
また、一番初めに
「人生で料理をしたことがないので料理はできません」
と言ってあったし
「自分にできることはドローンくらいですが掃除は好きなので頑張ります!」
と言ってあったもののそんなのは御構い無し。
かずくんがチリに帰ってからというもの俺は人生初めての料理というものをすることになったのだ。
「親子丼なら簡単だよ」
と言われたもののどう作っていいものか分からず
クックパッド先生に聞いてみることでどうにか切り抜けた。
ただ、これが意外と美味しくできてしまったのが失敗だったのだ。
「明日はね〜〇〇が食べたい〜」
とリクエストが始まってしまった。
その度に
”クックパッド先生にきいてお買い物をして料理をする”
という生活が始まったんだけど。
気付けば俺はクックパッドのプレミアム会員になってしまったのだ。笑
何が違うのかというとレシピのランキングがみれる。
例えば親子丼で検索しても何百何千とレシピが出てくるのでどれを参考にしていいか分からず
それなら1位のレシピなら間違い無いだろう
と思ったのがアプリの思うツボ。
いくらだか忘れたけど毎月いくらか課金し続ける日々の始まりなのです。笑
結局、
親子丼×2
カルボナーラ
温泉卵×複数回
鶏鍋
ナスとベーコンのパスタ
焼き鳥
ホットケーキ
これ以外にも他の旅人が作る料理のお手伝いをしたりと料理漬けの日々でした。
そんなかおりさん宅での日常は料理以外でも今までに経験したことないことが多い。
まず滞在2日目か3日目くらいにかずくんと飲んでて
その後ちょっと横になったらこんなことになっていた。
実はかおりさん宅にはもう1人
ななちゃん
というコロンビア女性が同居してるんだけれども。
その子が俺の足をこんなことにしていた。
この後メデジン滞在中、これを落としてくれることはなく
少し違う性的趣向を持ったやつ
だと巷では思われていたに違いない。
なんかハロウィンの話になって気付けばこんなのを着る羽目になったこともある。
積み重ねてきたものが壊れた瞬間。笑
さらにいうと。
かおりさん宅には突然いろんな人がやってくる。
旅人だけではなくかおりさんのクラスで日本語を勉強中の生徒さんも遊びにやってくる。
こんな時、料理係の俺としては
4人前を作っていたのにも関わらず10人分用意しなくてはいけなくなったりするのだ。
この時、他の旅人がかおりさんに食事に誘われてやってきたんだけれど
気付けば料理係にされてブチ切れていた。笑
俺とその旅人は自分達で作りながらほとんど食べられなかった。
ま、こんなのも含めてかおりさんの執事生活なのです。笑
しかしそんなある日、さすがに料理に対して吐き気がするほどいやになった俺は
かおりさんには外食することを伝え、あるお誘いに乗って外食することにした。
その時にななちゃんからメッセージがきた。
「家に帰ってきたんだけど、私は何を食べればいいの?」
いや。知らね〜よ。笑
俺はこの段階でかおりさん宅を出ることに決めた。笑
家賃がかからないということだけでここにいた俺なんだけど
実は金銭面ではそんなに得はしていない。
というのも(当たり前のことなんだけど)消耗品などを買い足したり
他の旅人がやってきたらビールおごってあげたり(完全に俺のせい)
それに肝心の食費で意外とかかってしまう。
なんだかうまく割り勘ができていなかったのもあるんだけど
俺はなんのためにここにいるのか分からなくなってきたのだ。笑
この時、ちょうど大学にスペイン語を勉強しにいくこともあったし
料理で勉強時間を削りたくなかったのもあったから”家出”をした。
そして俺にとっては珍しく「個室」をとって暮らし始めたのだ。
よほど精神的に病んでいたんだと思われる。
そんな一人暮らし生活もそれなりにエンジョイしてたんだけど
気付けば2週間の大学生生活も終わり俺はメデジンを出ることにした。
最後に、色々お世話になったかおりさん宅に1日滞在してから出ることに決めたんだけど
このとき久しぶりにかおりさん宅。
そしたらなんだか我が家に帰ったような気持ちになった。
なんだかとっても落ち着く。笑
朝にかおりさんを起こすのもなんだか
「そーそーこれこれ」
って感じだったしw
2度目の親子丼もなんとなくうまくできた。笑
ただ、最終日の夜。
「今日はちーちゃん最後の日だから
〇〇さんと〇〇さん、あと、△△さんも呼んであげましょうよ」
とかおりさん。
みんなでご飯食べましょう!!
と。
いや、誰が作るんですか?笑
さすがにこの時は丁重にお断りして最小限の人数だけでご飯を食べたんだけど。笑
そんな不思議な日々も終わって俺は旅を再開(?)したわけです。
色々書いたけど。
最後に言っておくと
かおりさんはまったく悪気はない
ということ。
それに
そもそもかおりさん宅にタダで泊めてもらってるんだから当たり前
かおりさんから誘われたわけでもない。
かおりさんからすると、ただ、平穏な日常に旅人がやってきただけなのだ。
俺の最後の日なのに俺がご飯を作るっていうのもかおりさんは深く考えていない。
ただ、みんなでご飯を食べましょう
というだけなのだ。
お腹が減ったからご飯が食べたい。
そこに人がいたから家に人を連れてきた。
面白い話を聞きたいだけ
アニメが見たいだけ
眠いだけ。
全部正直に生きているだけなのだ。笑
だから色々書いたけどすべていい思い出。
誰か以前にかおりさん宅に泊まってた方が書いたブログを読ませてもらったんだけどそこには
メデジンの妖精
と書かれていた。
うん、完璧な例え。
かおりさんは妖精なのだ。笑
そして我々旅人は妖精かおりさんの執事なのだ。
だからこれからかおりさん宅に押しかけてみようと思ってる人は心して行って欲しい。笑
そもそも料理が好きな人には一切苦はないと思われるけど
料理が苦手な人。
朝が弱い人。
は要注意。笑
それにね。
プライベートな部分ばっかり書いたけど日本語のクラスはとっても面白い。
こんな面白い内容のテキストだけど授業はとっても素晴らしいと思った。
かおりさんのすごいところは誰にでも少しずつ日本語を教えていってしまうことだ。。
住んでるアパートメントの入口の管理人さんはみんな
「こんばんわ〜ありがと〜またね〜」
と日本語で挨拶してくれる。
それに孤児の支援をしている
「サンタプロジェクト」
は素晴らしい。
あるコロンビア人がかおりさんのこの行動を知って
「こんな素晴らしいことをしている日本人がいるのか」
と涙を流していたそうだ。
ここまでね。色々書いてきたし軽くディスっておいたけどねw
最後に一つ言っておくと。
またメデジンに戻ることがあったら当たり前の顔してかおりさんの家に帰ると思う。笑
最終日、こんなことをされてもだ。
もう生きていけなくなったら一生住み着いてやろう。
うん、そうしようw
最後に。
題名の
らかさでかおり
は
LA CASA DE KAORI
かおりさんの家っていうだけです。笑
またね。かおりさん♡
アイキャッチ画像はささやかな反抗です♡笑